2015年6月9日火曜日

「未来企業」リンダ・グラットン

少し前に購入していたのですが、積ん読になっていました。

でも、再度読み始めたらうなづける部分が満載で、
まさに自分たちのこれからの未来の働き方を考える上で、とても参考になりました。


- 誰もが全力で働き、常にメールを返信し、寝室でも電話で連絡を取り合うようになっても、生産性は高まらない。生活の自然なリズムに逆らって全力で働くようになると、精神的な余裕が失われ、洞察力を高めてイノベーションを起こすためにじっくり考えたり好きなことをしたりする時間がなくなるからだ。

- 産業化によって耐え難いほどのストレスが労働者の多くにのしかかり、労働者たちは長時間働いて、ろくに食事をとる時間もなく、社会的な交流も乏しく、長い通勤時間のために睡眠不足で、いつも時間に追われていると感じている。こうした現象をボストンカレッジの経済学者ジュリエット・ショアは「時間的貧困化」と呼んだ。

- 打開策は、テクノロジーの利用を増やすことではなく、従業員と経営陣が仕事や働き方についての考えを改めることにある。これは働き方を変えることであり、社風や規範のあり方を変えることである。

- 企業が従業員の活力を奪うのではなく高めるためには、三つの方法が考えられる。
1 働き方を変える 2 仕事中に自由時間をつくる 3 自然なリズムに合わせる

- 勤務時間ではなく仕事量で業績を測定することを発表したところ、チームのメンバーは仕事さえきちんとこなせば好きな時間に働いても構わないと考えられるようになった。彼らの意識が出社することから仕事をすることに変わったのである。

- 誰をいつ信頼するかというこの疑問は、単なる理論上の心理ゲームではない。人間とは本質的に自分の利益を最大にするものだと企業の経営陣が信じていたとしたら、その前提に基づいて自社の構造や取り組みを決めることになる。すると、自分の利益を追求するために行動するものとして扱われた人々は、やがて本当にそのような行動をしはじめる。

- 幸せとは、自律、自己革新、つながり(関係の数と深さ)、ビジョンと意味(自分自身よりも大きなものの一部となること)の四つで決まります。

- 失業率が高く不安定な国で育てられた若者は、非常に大きなリスクにさらされている。過激な宗教団体や思想団体から熱心に勧誘され、その仲間に入ったり親近感を覚えたりする人もいる。〜心理学に基づいた研究によると、若者(たいてい男性)が暴力組織に加わると共有状態という感覚に陥る。この状態になると、若者が暴力組織から離れるのはほとんど不可能になる。離れると、仲間や地位をすべて失ってしまうからだ。

- 企業の目標の一つとして発表した四半期収益目標を達成することや、それ以上の成果を上げることに時間をかける経営者は、研究開発や優秀な人材の雇用にあまり時間と資金をかけていないという証拠がいくらでもあります。〜いまこそ、こうした短期的な未来予測はやめて、代わりに長期的な価値について話し合い、こうした価値を高めることに力を注ぐべきです。

- リーダーが「丸裸」にされる時代には、共感、内省、メッセージの発信がかつてないほど重要になる。リーダーが自分なりに過去と未来を結びつけるストーリーをフォロワーに伝え、それが共鳴を起こすことで、ありのままの自分をフォロワーに示す。言葉が重要なのは確かだが、フォロワーが気にするのは、価値観が試される困難な状況に直面したときにリーダーがとる行動であり、下す判断である。

- 現代のリーダーシップにおける最大の課題は、エコシステムと”エゴ”システムの矛盾に対処することである。リーダーの新しい仕事は、個人やグループが(狭い利益集団を満足させる)”エゴ”システムから(全体を満足させる)エコシステムに意識を切り替える手助けすることである。

- 人々を満足させて幸福にすることが知性が目指すことのできる最も大切な目標であり、企業はこの目標を実現するためのツールの一つになり得る。

- リーダーシップは時代遅れとなる危険性がある。リーダーが時代遅れになるのではない。リーダーはいつの世にも存在するが、フォロワーシップより重要な存在としてのリーダーシップはもう古いのである。

- 企業が「親」で労働者が「子」であるという暗黙の了解がなされた関係は終わると予想した。〜「大人対大人」の関係への変化は居心地のよいものではないかもしれないが、フォロワーシップの力を引き出す効果もある。