この度の東北関東大震災で被災された皆様に、お見舞い申し上げます。
セシウム137とペクチンのことがtwitterで話題になっており、
@K9FCRさんからmentionをいただきました。
残念ながら私はこの分野は全くわからないのですが、
薬剤師の端くれとして何も調べずお手上げというのも情けないので、
インターネットで調べられる範囲で調べてみました。
元の記事によると、こう書いてあります。
"セシウムの半減期は30年なのでセシウム汚染は日本からスイスにまで行き渡るが、
スイスでの危険度はごくわずかだ。セシウムはカリウムのように体内で代謝されるため、
一回限りの摂取なら数カ月後にはなくなる。"
"セシウムに関しては、ウクライナでは大人も子どもも食品から摂取している。
それは今も変わらない。これに対してはりんごペクチン剤が服用されている。
りんごペクチンは体内のセシウムの量を減らし、継続的なセシウムの摂取に対しても有効に働く。"
Wikipediaには、このような記載がありました。
"セシウム137は、体内に取り込まれてから体外に排出されるまでの
100日から200日にわたってガンマ線を放射し、
体内被曝の原因となるため大変危険である。
セシウム137に汚染された空気や飲食物を摂取することで、体内に取り込まれる。
なお、ヨードや安定ヨウ素剤などを服用してもセシウム137の体内被曝を防ぐことはできない。"
そして、ペクチン剤については以下の論文が発表されていました。
SWISS MED WKLY2004;134:725–729 www.smw.ch
Relationship between Caesium (137Cs) load, cardiovascular symptoms,
and source of food in “Chernobyl” children
– preliminary observations after intake of oral apple pectin
この論文によると、
セシウム137を摂取したチェルノブイリの子供たちに、
放射能で汚染されていない食事とともに、ペクチンを与えたそうです。
りんごペクチンの粉末剤Vitapect®スプーン1杯、約5g(16%のペクチンを含む)を
1日2回食事中に水または牛乳と一緒に、16日間摂取したところ、
38 ±2.4 Bq/kg体重の放射能が検出された31人の子供たちの群では39%、
122 ±18.5 Bq/kg体重の放射能が検出された30人の子供たちの群では28%、
ペクチンの摂取前よりも放射能が減少した。
とのことでした。
また、高いセシウム137が検出された子供たちには、
動脈性高血圧症や心雑音、心電図異常が認められていました。
ここで疑問に思ったのは、
・ペクチンを摂取しない群と比較されていない
・エンドポイントは放射能の減少ではなく心機能異常の減少とすべきでは
ということでした。
で、さらに検索してみますと、以下の論文がありました。
Radiat Prot Dosimetry. 2007;125(1-4):523-6
Studies on the current 137Cs body burden of children in Belarus
--can the dose be further reduced?こちらの論文は無料公開されていなかったので、アブストラクトしか読めませんでしたが、
一番目の疑問には答えてくれました。
The mean relative reduction of the specific activity within the Vitapect groups
was found to be approximately 33%, whereas the specific activity of the children
who received a placebo decreased only by approximately 14%, due to clean food supply.
つまり、ペクチンを与えた群では33%の減少だったが、プラセボ群では14%ということでした。
さて、ここで重要なことは、
"今、東北関東で被災した子供たちがペクチンを摂取する必要があるか? "
ですが、現在のところ、あわてて摂取する必要はないと私は思います。
理由としては、セシウム137に汚染されている食物を、
今のところ健康に害があるほど摂取していないと考えられるからです。
さらに、これらの情報から推測すると、セシウム137による健康被害は、
可逆的なことが多いことが考えられました。
よって、摂取し続けることが問題であり、
1回摂取してしまったからといって、
そこまで深刻な健康被害には至らないとも考えられました。
ちなみに、ペクチンは重金属中毒の解毒剤として作用するそうで、
重金属と結合して排泄を促進する効果があるそうです。
重要な情報を伝えて下さった@K9FCRさん、ありがとうございました。